大人気作で、映画化もされた『どうしても触れたくない』のスピンオフ作品です。
同人誌で描かれていたお話に前日譚と後日譚をくわえたものだそうです。
それでも、やさしい恋をする
(H&C Comics/CRAFTシリーズ)ヨネダコウ
■あらすじ
出口晴海が好きになったのは、小野田良。
三歳年下のストレート。
気がつくと、好きになっていた。
友達でいい。
そう思っていたのに、どんどん好きになっていった。
素直になれなくて、
不安になって、
ささいなことに幸せを感じて、
言えない言葉がたくさんたまっていって———
誰かを好きになる切なさと幸せがここに。
《収録作品》
■それでも、やさしい恋をする(描きおろし)
■after 9 hours(同人誌に全面修正・加筆)
■after 10 hours(同人誌に全面修正・加筆)
■色のある世界 前編(同人誌に全面修正・加筆)
■色のある世界 後編(同人誌に全面修正・加筆、描きおろし)
■やさしい嘘はみのらない
■おまけ(描きおろし)
■あとがき(描きおろし)
読んで本当に満足しました!
『どうしても触れたくない』の小野田はいい脇キャラだったので
今回ピックアップされてよかったです〜
それではネタバレです。

■それでも、やさしい恋をする
この話はひたすら出口さんが悩んでいて可愛いです。
前半は小野田の彼女が少し登場しており、
出口さんが小野田への恋心を自覚します。
一方の小野田はまだ出口さんに恋はせず、彼女がいたり、
この話の少し後に『どうしても触れたくない』に登場する嶋くんに
恋をするといった描写があります。
話は出口さん視点で進みます。
爛れきった出口さんの性生活。そんな出口さんが恋をした。
相手はノンケの年下男、小野田。
ノンケに恋はしないはずだったのに。
ここで嶋くんと出口さんの対比が印象的です。
出口さんが
“俺は嶋とは違う”“俺ならもっとうまくやる”
と言っているところが
これからの話のポイントになっている気がしました。
帯にも書かれている“あの繋いだ手が羨ましいと思った”という
モノローグのシーンは本当に切なくて胸に響きます。
■after 9 hours
この話は主に小野田視点です。
なので、嶋くんと外川さんも微妙に登場しています。
(あ、外川さんは名前だけでしたw)嶋くんの元カレも。
意外と元カレがちゃんと嶋くんのことを
心配してる描写があってよかったです。
『どうしても触れたくない』のときはひたすら
最低な野郎でしたからね。
ブラックな出口さんの一面も見られますよ!
小野田がメガネをかえたことに気づくのが
出口さんだけだってことの意味にはやく気づいてほしい…!
■after 10 hours
出口さんが小野田に告白する話です。
終始どんな風に告白しようか悩んでいる出口さんが可愛すぎます。
遊んでばかりだった出口さんがまさか本命をつくるなんて。
小野田が嶋くんを好きになったことで
“もしかすると男の自分も好きになってくれるんじゃないか”
なんていう期待を抱いたりもして。
鈍感な小野田にやきもきしながら読み進めていました。
長時間部屋の前でまっていたのに
“今来たとこ”
なんて言う出口さんの健気さが可愛い。
■色のある世界 前編・後編
ようやく小野田が出口さんのことを好きだと自覚する話です。
前編はまだすれ違い。
後編はようやく想いが通じ合って、
小野田が妬いているところも見れて、
出口さんの恋が実って読んでいるこちらも幸せな気分になります。
どうして嶋くんのときには許せたことが
出口さんでは許せないのか。
メガネをかえたことに一番に気付いてくれた意味に
小野田が気付いてくれてよかった。
やっぱり恋愛ものの醍醐味は両想いになるところですよね。
もー、出口さんが可愛すぎる。
そして受け身な小野田が面白いwwwwwwwwww
そんな覚悟はいりません!!!
最後まで出口さんは可愛くて健気で
幸せすぎて泣いちゃうところなんて
こっちまで泣きそうにでした。笑
■やさしい嘘はみのらない
微妙なすれ違いがきっかけでけんかしちゃう話です。
けんかの後の誕生日プレゼント(しかもサプライズ気味)って
小野田かっこよすぎやしませんか!!!地味顔な癖にイケメン!!!
出口さんのひっかけ電話は不安な気持ち故ですよね。
小野田が自分への好意に鈍いことは知ってるけど
モテるので心配な出口さんと
“ゲイとノンケ”と線を引かれて不安な小野田。
けんかして話し合ってもっともっと幸せになってほしいと
思わずにはいられない二人でした。
ぺち…殴りも小野田らしい。笑
最後のページにはなんと!
背後霊のような外川さんも登場しています。
■おまけ
ようやく外川さんががっつりと登場wwwww
けんかしていてもやっぱり嶋くん大好きな外川さん。
最終的にはダブルデートになっちゃう話です。
もっとダブルデートしてほしいし、
もっとダブルデートの話を読みたい。
つまりは続きが読みたい。
出川さんと外川さんに振り回される2人が可愛いです。
あとがきでは、
“トラウマもないし、特別辛いことも吃驚するような事件も起こりません。”
と語られています。
“今まで描いていた漫画とは少し違いますよ”ってことですかね。
また、最初の表紙案も載っています。
最初の表紙案は出口さんが小野田の手をつかんでいる絵でした。
(他はほとんど一緒です。)
わたしはこの表紙の絵をみて、二人の恋のように見えたんです。
出口さんが引っ張ったから小野田が出口さんを好きになった訳ではなく
小野田が出口さんの良さに気付いて恋に落ちたわけですから
自分から電車をおりる今回の表紙の方が合っていると思いました。
元の案は“あの繋いだ手がうらやましいと思った”という
モノローグを考えると、
うらやんでいた小野田と彼女の“手を握る”という行為が
出口さんもできたんだ、しかもずっと見ていた駅で。ということで
こちらもストーリーに合ったいい絵だと思います。
つまりはどっちも話に沿って考えられた素敵な絵だという訳です。笑
この話に登場した外川さんと嶋くんがメインの話、
『どうしても触れたくない』の感想もまた書きたいと思います。
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